中南米大陸の西に位置するエクアドル。人口1250万人あまりの国です。最大の産業は農業でバナナ・コーヒー・カカオが主な輸出品。
 近年、米ドルの採用と石油発見の影響により急激に物価が上昇し、農村に暮らす人々は生活が厳しく、村を離れ都市に仕事を求める人も少なくありません。都市では人が溢れ、一日の生活に困る人も多くいます。現在、都市と農村の経済格差が問題になっています。
 
 

 エクアドル北部インタグ地方。標高1000〜1800メートル、雨量 2000〜2700ミリ、気温20〜25度と良質なコーヒー生産に適した環境にあるだけでなく、栽培方法がこの地域の伝統的な多品目栽培で行われているため、無農薬栽培に適しています。
 1988年に“AACRIアークリ”(インタグ有機コーヒー生産者組合)が設立され、コーヒー生産者を支援し豆の販売・管理を行を行っています。また、単一栽培から森林農法(森を活用しコーヒーを植えて継続性のある農業)へと進めていて、現在320名の会員が自然の力を生かした方法でコーヒーを栽培しています。

 

 

 農薬や化学肥料に頼らない、本来の生態系の状態で作物を育てる農法です。動植物ともに共存可能なこの農法は、永続的な農業を続けられるうえさまざまな野菜や果 物を育てられるので、コーヒーの相場が下がったときなどにも比較的安定した経営をする事が可能です。
  森林農法は森を作る事から始まります。森を作り日ざしを遮ることで、強い日ざしが苦手なコーヒーも栽培できるようになります。そして、たくさんの木々の落ち葉の養分でよい土が出来き、香りのよい良質なコーヒーを生産することが出来ます。

< 森林農法で一緒に栽培される主な作物>
とうもろこし
 成長が早く根が土壌から養分が流れ出るのを防げる。
 強い日ざしや風を防げるためコーヒーの苗木の周りに
 囲うよう植える。
グァバ
 コーヒーの日ざしを遮る。
アボガド
 葉が大きく日ざしを遮り、土を豊かにする
テューガ
 窒素を土におくる。成長がはやく日ざしを遮る。
バナナ
マンゴー


 森林農法で育ったコーヒーはとても甘く、無農薬で育てられるため、飲む人にも安心です。そして森を守り森を育てられます。


パパイヤの樹につかまる
ミツユビナマケモノ

 インタグの森で自然の愛情豊かに育まれたコーヒーは、大平洋を渡って日本に到着します。九州にある有機コーヒー社が輸入したインタグのコーヒー生豆は(有)スローで培煎され「無農薬インタグコーヒー」として日本の消費者の元へとどけられます。

 有機コーヒー社代表で環境文化NGOナマケモノ倶楽部の世話人も勤める中村隆市は「単に市場より高い価格で生産者からコーヒーを買い取るだけでなく、生産者の顔が消費者によく見えて、生産者と消費者との心が通 じるようなフェアトレードを目指しています。

 インタグの人々は「こどもたちに美しい自然ときれいな川を残したい」と口々に語ります。一方でインタグには電気が通 っていない地区も多く、教育を受けられない子供たちもたくさんいます。環境を守りながら貧困から抜け出すためのベストの方策。それは地域の伝統的な農法を生かし『無農薬栽培のコーヒー』を生産し、それを『適正な価格で販売する』こと....

エクアドルに住むエドモンドさんより
 小さい頃から森が大好きだったフニン村の青年・エドモンド さんは、コミュニティーでただ一人資格をもつ森林ガイドです。彼のお父さんは無農薬サトウキビ農園を経営しています。お父さんが「さらに森を切って農地を拡大しよう」と提案したとき、エドモンドさんとお兄さんのホルヘさんは強く反対しました。そして従来の単一栽培・焼畑という森を消費する農法に替わる、アグロフォレストリー(森林農業)によるコーヒー栽培という道を選びました。
 現在エドモンドさんは原生林の中にあるコーヒー園で働くかたわら、エコツアーで訪れる人たちのガイドをしています。ツアー客を案内してフニン川の水源を見ることで、自然の恵みを再確認する。コーヒーの森で働きながら、幼い頃の森での体験を思い起こす雲霧林で過ごす時間は気付かぬ うちにエドモンドさん自身のルーツ探しとなっています。
 村の人々の変わるペースは非常にゆっくりで、焼畑の習慣も簡単に途絶えるものではありません。「まずは自分が実践することで、住んでいる所からかえていきたい。」とエドモンドさんは夢をふくらませます。



スロー社での焙煎風景

 

 




フニン村の
エドモンドさん

 
*ナマケモノ倶楽部 (the Sloth Club)パンフレット引用